教員に恩給ってあるの?

2023年9月3日



至極当たり前に、常識のように語られる話。ところが、中には現実にその世界に入ってみると「あれ!?」って事も。

若い頃転職を繰り返した尺調整の管理人。今はしがないサラリーマンだけど、一時は学校の教師をしていた時期もあるんです。(辞めてよかったね。こんないい加減な人間が教師を続けていたら子供達がかわいそうだ!)

某教育委員会の学校に就職が決まり、「教師になったよ!」と人に言うと、結構な確率で次の言葉が返ってきたのです。

「ほぉ、良かったね!じゃ、老後は恩給がもらえるんだ!いいね。」

「え?年金の事?」

「違う違う。教員は年金の他にプラスして恩給がもらえると聞いているよ。だから美味しい!」

というわけで、そんなことを知らずに試験を受けた管理人はびっくりして、大喜びしました。ま、そうはいっても定年までちゃんと勤め上げる自信はなし。実際、その通りの展開で、すぐに退職したのですが…。

教員になってしばらくしたとき、先輩教員にオソルオソルその件について聞いてみました。

管理人:「先輩、将来、恩給ってどのくらいもらえるんですか?」
先輩: 「はい???恩給???年金のこと???共済年金なら…」
管理人:「いや、違いますヨ。共済年金の他に恩給がもらえると聞いているんですが…」
先輩: 「何じゃい、そりゃ?」
管理人:「教師は普通、公務員がもらえる年金の他に恩給がもらえるから、いいご身分だってみんなに言われますよ。」
先輩: 「あははははははは!そんなのないよ。尺調整君、おあいにく様だね。それは、根も葉もない噂だよ!」

調べてみると先輩の言っていたことが本当でした。「恩給」の「お」の字も給与・年金制度にはありませんでした。

しかし、どうしてこんな噂が広まったんでしょうか?管理人流に分析すれば…、

一つは、年金という制度が登場する前、公務員には恩給制度(今で言う年金)という名称のシステムが確かにあり、その後、それが「共済年金」に変更になったことが、一般の方々に知られなかったということ。つまり「恩給から年金へ」という変更が「恩給プラス年金」と誤解されてしまった。

もう一つは公務員給与にプラスして、教員には、「人材確保法」による毎月数千円の手当があり、このことにより、教員は他の公務員に比べ年収ベースで2パーセント程度優遇されているという話です。それが「優遇→恩給」と誤解されているのかもしれません。もっともこの手当があるせいで、教育職ではどんなに残業しても残業手当がつかない仕組みになっています。その点が実は大きな問題点ではあるのですが…。(つまりサービス残業があたりまえの世界なのです)

しかし、現実にはもはや存在しない制度なのに、こうして「彼らは高い処遇を受けている」とされて、妙に誤解されるのは、先生達も多分ツライものがあるでしょうねぇ。

ネットで改めて見てみると、まだまだ誤解は相当に広い範囲で残っているようです。ネット相談室みたいなところでも「教員は退職後、年金に加えて恩給がもらえる」となぜか自信を持って「誤」回答されている方も未だにいらっしゃいます。もっとも円満退職した場合の退職金が、不景気な時代にはサラリーマンを上回りますから、そういう声が出るのかもしれません。

そういうわけで、給与(お金)の問題は、皆さん、それぞれに思いがあり、また、「議論するのははしたない」という倫理観もあり、なかなかオープンに事実を客観視して議論するのは難しいのかもしれません…。

ま、いずれにしても、教員という責任のある大変な仕事(事実、席を並べた先輩教員は1年のうち360日以上出勤していました!過労死寸前。残業代0円にもかかわらず…)を続ける能力の無かった管理人には縁のない話なのですが…。

追記:この文章を書いて12年後に、ようやくこの問題が報道でスポットライトを浴びるようになりました。改善を強く望む尺調整です。

雑感恩給,教員,残業

Posted by shaku