総退却 その2
前回書いた記事、庄司薫さんの「狼なんかこわくない」、その中に出てきた「総退却」という言葉にひどく惹かれた管理人です。
実は、ここ数ヶ月、その総退却をしたいと密かに思っていたところだったのです。そう、仕事から。
好きで好きで、あこがれて&あこがれて、ついた今の仕事。いままで20年以上組織に属してその仕事をしてきました。現場が好きで、昇進を断ってまで現場で働き続けてきました。
が、ここ数年、会社の求めている能力と、自分がこれまで磨いてきた能力とが、乖離しはじめている実感があるのです。これまで会社が「この力を伸ばしてほしい」としていたのに、急に「この能力はいらなくなった。これからはあちらの能力を伸ばしてほしい」という感じになってきたんです。よくある話ですよね。
管理人の父親もそうでした。公務員でしたが、定年の数年前から、それまでと別の事を求められ苦しんでいました。それまでは「人のために…」という公僕として働くことが求められていたし、それが大好きだったのですが、急に「客を騙してでも利益を上げろ」となり、このフィロソフィーの大転換はさすがに堪えたようです。精神的に参ってしまい、定年まで数年残して辞めてしまいました。
今、その親父の気持ちがよくわかります。そこまで追い込まれていないとはいえ、同じように自分の立場がつらくなっているのです。同じ仕事をしている仲間も「これって、もう私たちがいらないってことですよね」と一歩進んで解釈して、退職を考え始めています。
一方で、以前、一時的に仕事を干されたときがあり、そのころに趣味ではじめた事がいろいろと実を結び、最近はそちらでも収入ができたりし始めています。それに、そちらの世界もおもしろいのです。
そんな自分には、「他にやりたいことがいろいろありすぎるので、せっかく新人賞を頂きましたが、小説の世界は一旦、総退却します」という庄司薫さんの考えはとても魅力的に思えます。
とはいえ、ローンがまだまだ残っている我が身、仕事を辞めてしまうのは金銭的には無理。
でも…、なにかしら、「総」とまではいかなくとも撤退に近い方法を考えたいものです。
どうしよう???やっぱり無理かナ…。
そんな夢を密かに見るだけで、よしとしますか。