夢がかなう?それとも運命?
年をとってくると、人生について、いろんな考え方に触れることができ、自然と自分の考えが変わってくることがあります。
尺調整の管理人。子供の頃、ある仕事に就きたいという希望がありました。とても人気のある仕事で、普通に考えると自分の頭では無理。でも、なんとなく、自分がその仕事についている様子を想像すると、とても自然な感じがしました。しかも、不思議なことに会社限定なのです。その会社以外ではその仕事をしたいとはさっぱり思わなかったのです。
小学生の頃からその仕事のまねごとをしたり、あこがれは強かったのですが、どう考えても、自分のルックスは良くないし、学業も、平均点レベルで優秀とはとてもいえない。現実的には無理な話。
結局、就職試験で見事失敗したとき、父親の一言。「言ったとおりだろう。おまえには無理だよ」。冷静な一言でした。
ところが、数年後、突然、その会社が中途採用募集を始めたという知らせが舞い込み、受けたら合格。
しかも、その巨大な会社の中で、希望通りの部署に行き、子供の頃からまねをしていた、まさにその仕事をこなすことになってしまいました。
実は、この話もっとドラマチックなことがいろいろとあるのですが、そこまで言うと、なんとなく「さしさわり」があるので、今はまだ内緒です。
でも、この話を若い人に話すと「すごいですね。夢って、強く願ったらかなうんですね」
私も、ずっとそう思いこんでいました。
が、最近になって、どうも違うのではと思うのです。願いが叶ったのではなく、そういう風に「自分で無意識のうちに決めてきた」のではないかと…。そう、自然の流れに乗ってきたのではないか…。別の言い方をすれば、夢を持つというのは、その自分に課せられた方向を自分で本能的に嗅ぎとって、それを「夢」として、実現に向かおうと段階を経て進んでいくのではないかと。すると、一見回り道をしているように見えることも実は意味があるんじゃないでしょうか。
学校を出て、万が一、そのまま、今の会社に入っていたら、実は、相当に悩んだのではないかと思うんです。自分の入った会社、結構百戦錬磨の人たちがいて、その中で生き残るのは大変です。しかし、自分は、寄り道をしたおかげで、心にずいぶん余裕ができました。その会社のことも外から見てよくわかるようになっていましたし。ストレートに入っていたら、たぶん、自分自身がつぶれてしまったでしょう。実際、やめていく人が多い会社です。
で、さらに言えば、試験結果を見て、私を強く押した管理職がいたと後で聞きました。お礼を言うまもなく、退職されたので、その方とはついに一度も会わずじまい。
ところが、就職して何十年もたった今になって、仕事と関係なく、その方と出会うこととなり、しかも、自然とその方の人生をサポートしているのです。まるで、そう仕組まれていたかのように。「まるで君は僕の為に神様が遣わせてくれたみたいだね」とおっしゃいます。彼も私を採用するときに、まさかそんなことになるとは思っても見なかったと言います。「ただね、なんとなく、君が気になったんだよ。だから僕はこの人を採用したほうがいいと、みんなに主張したんだ。」
仕事だけじゃないんです。
子供の頃から、なぜか、自分が将来結婚するのは、父親のいない人。そして、子供は作らないんじゃないか…そんなことを思っていました。そんな想像が浮かんだのです。
その後いろんな女性に出会いましたが、最終的に結婚した相手、強く惹かれ一緒になりました。「この人と自分が一緒になるのはごく自然なことだ」 そんなこと、それまで他の人に感じたことはありませんでした。とにかく、一緒に生活することが自然に思えたのです。
そして、そこに至ってハタと気づきました。彼女、子供の頃に両親が離婚して、父親がいません。それに「結婚したら、子供は作りたくないなぁ。あなたと二人の生活がいい」と言っています。そう、現実、もその通りに。
そうなんです。これは自分の願いがかなったというよりは、自然に、そういう流れになっていたとしか言いようがないのです。
「住まい」探しもそうです。自分自身でどんなところに住みたいのか、実はかなり具体的な希望をいくつも持っていました。現実はそれを満たした住まいなんて無理無理…。そう思っていましたが、結局20年越しで見つけてしまいました。それも、本当にある偶然がもたらしたものでした。
自分の人生、自分で選択して切り開いていくのは当然ですが、実は、そこには、最も自分の乗りやすい道が、いくつか、オプションとして、ちゃんと用意されている。そして、そこに乗ったり、乗らなかったりしながら、様々な体験で自分自身を磨いていくことになるのではないでしょうか。
そう考え始めると、人生、すごく楽になります。そう、不安がなくなるのです。
今、たとえ、自分がひどい状況に置かれていても、きっとこれは運命であって、しかたがない。でも、希望を持つことができれば、そして、それを信じれば、きっと良い方向に進んでいる。そう思えてならないのです。
人生で、今、痛みを感じている方、どうぞ、希望を持っていただけたら…と思います。
尺調整管理人、30歳までは本当に人生、失敗の連続でした。20代の頃は自殺寸前まで追い込まれました。でも、思いとどまりました。そして、30をすぎた頃から急に、人生の展開が変わったのです。それまで、願い事や夢は「かなわない人生」だったのに、急に「かなう人生」に変わっていったのです。
今、再び、いろんなことがかなわない時期に入り込んでいます。会社では自分が取り組んできた仕事が次第に評価されなくなり、一部の人たちからは「あの人は不用」と言われるも同然。様々な自分の希望もかなわない状態が続いています。
が、希望を捨てません。数年前から、ある夢を持っています。気付くと自然とそちらに自分が引き寄せられているのです。自分の過去の経験から、たぶん、それが自分を導き、救う道だと思いますし、現実に、その夢が叶う日が来ることでしょう。信じるというより、過去の経験から、「わかる」ような気がするのです。
初版が出た20年前に読んだ本ですが、最近、読み直し、ここに書いた事への思いを新たにしました…。名著です。